July 14, 2011
古い書棚から〜怪童の私的書評005
奥山益朗編『消えた日本語辞典』、東京堂出版、1993年
日本語を教える仕事をするようになって、日本語に敏感になっている。本書はずいぶん前にさらっと立ち読みをして、面白そうだったから買っておいて、結局通読することがなかったのだが、自分の日本語を見直すという意味で、最初から読み始めた。
まず、これは辞書ではない。特に近現代史に関して、著者の個人的な思い込み(往々にしてそれは無知に発するものである)が紛れ込み、説教調の解説が鼻につく。さらに言えば、天下の朝日新聞社で出版校閲部長までした人の文とは思えない、おかしげな日本語も散見される。
面白い言葉を拾っているのは確かで、この本には続編もあるというから、それなりに売れた本なのだろうけど、言葉を知りたい人間としては、戦中派にありがちな、事実関係を自分の感情で捻じ曲げた歴史解釈や反軍思想に辟易としてしまった。
同種の本はたぶん他でも出ているだろう。筆者と同じ不愉快な思いをしたくなかったら、本書は絶対に勧めない。
※このシリーズは、最近読んだり、読み返したりした本の個人的な感想です。
日本語を教える仕事をするようになって、日本語に敏感になっている。本書はずいぶん前にさらっと立ち読みをして、面白そうだったから買っておいて、結局通読することがなかったのだが、自分の日本語を見直すという意味で、最初から読み始めた。
まず、これは辞書ではない。特に近現代史に関して、著者の個人的な思い込み(往々にしてそれは無知に発するものである)が紛れ込み、説教調の解説が鼻につく。さらに言えば、天下の朝日新聞社で出版校閲部長までした人の文とは思えない、おかしげな日本語も散見される。
面白い言葉を拾っているのは確かで、この本には続編もあるというから、それなりに売れた本なのだろうけど、言葉を知りたい人間としては、戦中派にありがちな、事実関係を自分の感情で捻じ曲げた歴史解釈や反軍思想に辟易としてしまった。
同種の本はたぶん他でも出ているだろう。筆者と同じ不愉快な思いをしたくなかったら、本書は絶対に勧めない。
※このシリーズは、最近読んだり、読み返したりした本の個人的な感想です。