August 09, 2010
つくる会FAX通信第276号
新しい歴史教科書をつくる会
つくる会FAX通信第276号
平成22年(2010年)7月23日(金)
TEL 03-6912-0047 FAX 03-6912-0048
国連児童の権利委員会の勧告問題で外務省に要請わが国の教科書に対する内政干渉を排除せよ!
去る6月15日に最終勧告が公表された、国連児童の権利委員会の勧告の中に、教科書問題に関する部分があり、その内容が極めて不当な内容となっているため、当会は、7月22日、所管する外務大臣に対し、下記のとおりの要請文書を提出し、申入れを行いました。同日の申入れには、つくる会側から杉原誠四郎・福地惇両副会長、鈴木尚之事務局長が出席、総合外交政策局人権人道課を通じて外務大臣に届けられました。
平成22年7月22日外務大臣 岡田克也 殿
新しい歴史教科書をつくる会 会長 藤岡 信勝
国連の児童の権利委員会を利用した我が国の教科書に対する内政干渉の排除を求める要請
(1)国連の児童の権利委員会は、5月25日から6月11日まで、「児童の権利に関する条約」の日本における履行状況について審議を行い、6月15日に最終勧告が公表された。その中に、当会の事業に関わりの深い教科書問題について言及された箇所があることがわかった。そこで、この勧告についての私たちの見解を述べ、外務大臣におかれては我が国の国家主権を守るために適切な対応を取られるよう強く要請する。 上記、最終勧告は、日本の教科書について、以下のように述べている。(外務省仮訳による)
74 委員会は、日本の歴史教科書が、歴史的事件に関して日本の解釈のみを反映しているため、地域の他国の児童との相互理解を強化していないとの情報を懸念する。 75 委員会は、締約国に対し、公的に検定されている教科書が、アジア太平洋地域の歴史的事件に関して、バランスのとれた視点を反映することを確保するよう勧告する。
(2)この勧告は、原理的にも、内容的にも、手続き的にも、不当極まりないものである。 第一に、原理的な問題として、そもそも教科書をどのように書くかは、その国の教育の根本にかかわる事項であり、国家主権の中核をなす、他に譲り渡すことのできないものである。従って、いかなる組織といえども、我が国の教科書に対して行われる介入は国家主権を侵害する不当な内政干渉であり、断固として拒否すべきものである。 第二に、その勧告の内容を一瞥しても、それが全くの的外れであることは明白である。例えば、「日本の歴史教科書が、歴史的事件に関して日本の解釈のみを反映しているため、地域の他国の児童との相互理解を強化していない」と述べているが、日本の歴史教科書の問題点は、むしろ反対に、歴史的事件に関して、諸外国に配慮するあまり、「日本の解釈」を明確に書かないできたことにあると言うべきだ。さらに、一般的に言って、歴史教科書に歴史に関する自国の解釈を書くのは当然のことであり、どの主権国家もそのようにしているのである。 第三に、委員会が「懸念」するという、その「情報」が、どのようにしてもたらされたかということも問題である。委員会が、日本の歴史教科書について何らかの判断を下す裏付けとして、日本の歴史教科書の大量な翻訳資料を用意し、熟読したとは思えない。だから、勧告文は単に「情報」と言って根拠をあいまいにしているのである。児童の権利委員会が勧告内容を決定するに先だって、日本政府の正式な代表ではないNGOメンバーとのレセプションが行われているが、このレセプションが委員会に不公正な情報を提供する場になっている可能性がある。かつて、国連の人権委員会が、日本の活動家による「従軍慰安婦問題」の宣伝の舞台として利用され、「セックス・スレイブ」という、事実を完全に歪めた用語が国際的に流通する重大な事態をもたらしたことが想起される。このように、今回の勧告は、手続き的にも不公正で不明朗なものである。
(3)戦後の日本では、「国際組織」「国際社会」などが、日本という主権国家の上位に位置する、中立・公正・崇高なものであるとする観念が、主に社会科教育などを通じて形成された。その結果、国際連合などの国際機関も、無条件で中立・公正なものであると考えてしまう強い傾向が国民の中にある。現実は、関係者にはよく知られているように、国連は、しばしば各国の利害が激突する闘争の場であり、各国は国益のために国連の諸機関を最大限利用しているのである。 こうした現状を踏まえ、今回の児童の権利委員会の最終勧告について、外務省は、主権国家としての立場を貫き、教科書に対する不当な内政干渉には、言い訳を述べたりするのではなく、断固として拒否する毅然とした対応をとっていただきたい。あわせて、国連の各種委員会が一部活動家の跳梁の場となっている現状についても、抜本的に改善するよう日本政府として努力していただきたい。
(以上)
つくる会FAX通信第276号
平成22年(2010年)7月23日(金)
TEL 03-6912-0047 FAX 03-6912-0048
国連児童の権利委員会の勧告問題で外務省に要請わが国の教科書に対する内政干渉を排除せよ!
去る6月15日に最終勧告が公表された、国連児童の権利委員会の勧告の中に、教科書問題に関する部分があり、その内容が極めて不当な内容となっているため、当会は、7月22日、所管する外務大臣に対し、下記のとおりの要請文書を提出し、申入れを行いました。同日の申入れには、つくる会側から杉原誠四郎・福地惇両副会長、鈴木尚之事務局長が出席、総合外交政策局人権人道課を通じて外務大臣に届けられました。
平成22年7月22日外務大臣 岡田克也 殿
新しい歴史教科書をつくる会 会長 藤岡 信勝
国連の児童の権利委員会を利用した我が国の教科書に対する内政干渉の排除を求める要請
(1)国連の児童の権利委員会は、5月25日から6月11日まで、「児童の権利に関する条約」の日本における履行状況について審議を行い、6月15日に最終勧告が公表された。その中に、当会の事業に関わりの深い教科書問題について言及された箇所があることがわかった。そこで、この勧告についての私たちの見解を述べ、外務大臣におかれては我が国の国家主権を守るために適切な対応を取られるよう強く要請する。 上記、最終勧告は、日本の教科書について、以下のように述べている。(外務省仮訳による)
74 委員会は、日本の歴史教科書が、歴史的事件に関して日本の解釈のみを反映しているため、地域の他国の児童との相互理解を強化していないとの情報を懸念する。 75 委員会は、締約国に対し、公的に検定されている教科書が、アジア太平洋地域の歴史的事件に関して、バランスのとれた視点を反映することを確保するよう勧告する。
(2)この勧告は、原理的にも、内容的にも、手続き的にも、不当極まりないものである。 第一に、原理的な問題として、そもそも教科書をどのように書くかは、その国の教育の根本にかかわる事項であり、国家主権の中核をなす、他に譲り渡すことのできないものである。従って、いかなる組織といえども、我が国の教科書に対して行われる介入は国家主権を侵害する不当な内政干渉であり、断固として拒否すべきものである。 第二に、その勧告の内容を一瞥しても、それが全くの的外れであることは明白である。例えば、「日本の歴史教科書が、歴史的事件に関して日本の解釈のみを反映しているため、地域の他国の児童との相互理解を強化していない」と述べているが、日本の歴史教科書の問題点は、むしろ反対に、歴史的事件に関して、諸外国に配慮するあまり、「日本の解釈」を明確に書かないできたことにあると言うべきだ。さらに、一般的に言って、歴史教科書に歴史に関する自国の解釈を書くのは当然のことであり、どの主権国家もそのようにしているのである。 第三に、委員会が「懸念」するという、その「情報」が、どのようにしてもたらされたかということも問題である。委員会が、日本の歴史教科書について何らかの判断を下す裏付けとして、日本の歴史教科書の大量な翻訳資料を用意し、熟読したとは思えない。だから、勧告文は単に「情報」と言って根拠をあいまいにしているのである。児童の権利委員会が勧告内容を決定するに先だって、日本政府の正式な代表ではないNGOメンバーとのレセプションが行われているが、このレセプションが委員会に不公正な情報を提供する場になっている可能性がある。かつて、国連の人権委員会が、日本の活動家による「従軍慰安婦問題」の宣伝の舞台として利用され、「セックス・スレイブ」という、事実を完全に歪めた用語が国際的に流通する重大な事態をもたらしたことが想起される。このように、今回の勧告は、手続き的にも不公正で不明朗なものである。
(3)戦後の日本では、「国際組織」「国際社会」などが、日本という主権国家の上位に位置する、中立・公正・崇高なものであるとする観念が、主に社会科教育などを通じて形成された。その結果、国際連合などの国際機関も、無条件で中立・公正なものであると考えてしまう強い傾向が国民の中にある。現実は、関係者にはよく知られているように、国連は、しばしば各国の利害が激突する闘争の場であり、各国は国益のために国連の諸機関を最大限利用しているのである。 こうした現状を踏まえ、今回の児童の権利委員会の最終勧告について、外務省は、主権国家としての立場を貫き、教科書に対する不当な内政干渉には、言い訳を述べたりするのではなく、断固として拒否する毅然とした対応をとっていただきたい。あわせて、国連の各種委員会が一部活動家の跳梁の場となっている現状についても、抜本的に改善するよう日本政府として努力していただきたい。
(以上)